別府八湯フォトアルバムシリーズ
柴石温泉<Shibaseki-Spa>


(撮影・取材:平成20年5月15日/ITOデザイン事務所・伊藤輝和)


別府八湯・柴石温泉は、鉄輪温泉から亀川方面へ地獄巡りコースにもなっている県道218号の野田隧道を過ぎ、すぐ左手の柴石川沿いの一車線の狭い道を山手に、車では1分以内の距離。「柴石温泉」の標柱が目印。温泉場に通じる道の入り口には、温泉場由来の説明板があり、それによれば『895年に醍醐天皇が、1044年に後冷泉天皇が万病に特効有りと聞こえた当温泉に病気療養のため湯治されたと伝えられている。

もともとは古地名「藤内」が、江戸時代に「柴の化石」が見つかりいつしか「柴石」と呼ばれるようになった』とある。伝説からすると温泉場としての歴史は古く、万病特効の名湯であったようだ。また、ここからは背後山手の明礬温泉に至る約1.5kmの森林遊歩道が通じている。登りは少しきついが、途中の見晴らしの良い展望台など優れた自然景観が楽しめる。


ここ柴石温泉は、別府八湯の中でも特に山間の鄙びた秘湯的温泉場。鉄輪・明礬両温泉地とともに療養効果の高い温泉地として国民保養温泉地、国民保健温泉地として指定。平成9年4月には自然景観にも恵まれた「ふれあい・やすらぎ温泉地」として、装いも新たに市営温泉がオープン。温度の違う2つの温泉や露天風呂、むし湯が一度に楽しめ、家族湯も新設され、多くの温泉ファンに親しまれているようである。

施設脇には昔のむし湯跡、玄関展示コーナーには「柴の化石」が展示されている。(→別府市公式サイト温泉施設案内)
しかし、最近湯量が減少しているのか、施設入り口の飲泉場や渓流沿いの滝湯にはお湯が無く、使用中止となっているのが少々気掛かり。


『現在旅館3軒、貸間2軒あり、近くの亀川や鉄輪温泉の入湯客も、渓流の風趣と都市的騒音に煩わされない気楽な雰囲気を愛してやってくる』(昭和48年発行別府市誌)とあるが、現在は宿泊施設の看板は見あたらず、他に商店などもなくただ市営温泉のみというのも別府八湯中ユニークな存在。
その市営温泉「柴石温泉」は駐車場3ヶ所完備(35台)し、
車椅子では施設建物は一部使用しにくい部分もあるが、家族風呂はバリアフリー対応となっている。

山あいの急勾配の土地の施設だけに、スロープがきついなど何かと制約を受けざるをえないが、建物裏の山手側からの景観は周囲の山あいの緑とマッチして美しく、この建築デザインは平成9年別府市のHOPE賞(「地域固有の環境(自然環境、資源的環境、文化的環境など)を活かした住まいづくり」コンペ)を受賞している。


ここに掲載した写真はいつ頃かはっきりしないが、昔から有名だった渓流沿いの滝湯と川沿いの宿泊施設(?)。渓流沿いの自然の爽快感が満喫できることで、柴石温泉のシンボルとして以前から人々に親しまれていたことが理解できる。ただ、柴石川は急斜面で、大雨の度に激流が滝湯の設備を襲い、その度に幾度となく施設を閉鎖、修復を重ねたと聞く。

その後柴石川は砂防法指定河川で砂防工事により階段状の河床となっている。現在は工事以前のような災害は少なくなったようで、滝湯施設も保全されているが、最近はお湯がストップして使用中止の状態、柴石温泉のシンボルに陰りが見えてきたのが心配。昔の風情が偲ばれる。(写真資料:小野弘氏)



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