別府八湯フォトアルバムシリーズ
明礬温泉<Myouban-Spa>


(撮影・取材:平成20年5月23日/6月12日/7月16日 ITOデザイン事務所・伊藤輝和)


別府八湯・明礬温泉は、やまなみハイウェイから安心院への国道500号の途中、別府八湯中最も山手に位置する、背後に鍋山、湯山高原、南方には扇山のスロープがひかえ、前方には別府市街地と別府湾を望む山間の静かな温泉地。近年大分自動車道開通に伴い、この地域を一またぎする東洋一のコンクリート製の別府明礬橋がひときわ目立ち、山間の温泉場の風景を一変させた。

それ以前の昭和51年、安心院の九州自然動物公園「アフリカンサファリ」の開園により、別府市街地からのアクセス道路途中にあたるため、その当時この山間の閑静な温泉場に大きな環境変化が及んだと聞く。昭和60年以降、温泉資源と自然景観に恵まれた温泉地として、鉄輪・柴石とともに国民保養温泉地、国民保健温泉地に指定されている。


明礬温泉の創始は明治維新後といわれ、それ以前は全国一の明礬採取地として繁栄していたとのこと。維新後衰退の明礬採取は現在のような湯の花小屋採取に切り替えられ、あわせて温泉旅館も徐々に増加し、湯治温泉場としても発展していったという。現在旅館は貸間を含め9軒、別府明礬橋の下を過ぎてすぐ、「明礬温泉」の標柱を目印に、ひっそりとした細い坂道に入ると何軒かの老舗の旅館が点在する。市営共同温泉は2棟、1棟はこの地区の鶴寿泉、もう1棟は山手の地蔵泉だが、こちらは現在湯量不足で閉鎖中。共同温泉以外にも、各旅館の露天風呂や家族風呂などの温泉施設を気軽に利用することが出来る。

ここの硫黄泉は、皮膚病や胃腸病に特効があり、「湯の花」の名声とともに全国的に有名。
その他にも美肌効果の高い『ドロ湯』で有名な「別府温泉保養ランド」や、有料老人ホーム併設の大型宿泊施設「さわやかハートピア明礬」(平成20年7月1日付営業)(旧厚生年金ハートピア別府)、また、明礬温泉からは少々はずれるが、秘湯マニアお気に入りの鍋山の湯やヘビん湯などの野趣あふれる露天風呂もある。


明礬温泉の特徴は、なんといっても硫黄の臭いともうもうと立ちこめる噴気に包まれた藁葺きの「湯の花小屋」。この湯の花小屋による明礬温泉の湯の花製造技術は貴重な民族技術として「国重要無形民族文化財」となっている。近年、明礬採取に加え観光温泉地的色彩も増し、この製造技術を間近で見学できるよう展示施設も整備され、観光コースにもなっている。

温泉の噴気を利用したゆで卵や地獄蒸しプリンなどが味わえる売店にも、多くの観光客が立ち寄っている。家でも気軽に温泉気分が味わえる「湯の花」ももちろん買うことが出来る。


湯の花小屋が林立する古い写真からは、明礬温泉が明礬生産による往時の繁栄ぶりが偲ばれる。写真上左は馬車による明礬の積み出し風景。明治中期には浴客1,000人、旅館戸数10戸(明治17年頃、豊後国速見郡誌)とある。

明礬は染色剤や防水剤、消火剤、皮なめし剤、沈殿剤、防臭剤などや、甘露煮・ナスの漬物等の食品加工から日本画の滲み防止剤など、昔から色々な面で利用されていた。写真資料:小野弘氏)



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