別府八湯フォトアルバムシリーズ
鉄輪温泉<Kannawa-Spa>


(撮影・取材:平成20年5月6日/ITOデザイン事務所・伊藤輝和)


別府八湯・鉄輪温泉は、町中の至る所から湯けむりが立ち上り、現在も入湯貸間旅館などの宿泊施設が軒を連ねる、別府八湯の中でも唯一湯治場的雰囲気の漂う温泉地域。歴史も古く、 鎌倉時代一遍上人が念仏行脚の途中この地を訪れた時、住民がほとほと苦しめられていた「玖倍理湯の井」(クベリユノイ)といわれる、猛り狂う地獄地帯を鎮め、湯治場を開いたのが鉄輪温泉の始まりとされている。 今も、鉄輪温泉には一遍上人にまつわるお寺(温泉山永福寺)や、行事(鉄輪湯あみ祭)などが健在で、住民や観光客にも親しまれている。また、この地域周辺には地獄巡りで有名な海地獄、山地獄、かまど地獄、白池地獄、鬼山地獄などがある。

鉄輪温泉の魅力の一つに、温泉の噴気を利用した「地獄蒸し料理」がある。入湯貸間旅館でも長期滞在の湯治客が自分で食材を買ってきて自炊できるのも楽しみの一つ。温泉観光施設の分野でミシュランの三つ星に輝いた「ひょうたん温泉」もある。 また、築百数十年の歴史を持ち、昔は遠来からの文人墨客も宿泊したという、別府に唯一残る明治時代の旅館建築で、国の登録有形文化財にもなった「冨士屋gallery一也百」もこの鉄輪温泉地区にある。

鉄輪温泉は、みゆき坂・いで湯坂のメインストリートを中心に、迷路のような細い路地で町並みが形成されている。近年、「まちづくり整備事業」が進められ、石畳やポケットパーク、トイレ、案内板、街灯などが整備され、まちなみも一新されつつあるが、路地に入り込むといかにも湯治場らしいシーンにまだまだ出会うことが出来る。 地元住民ボランティアによる「鉄輪温泉ウォーク」も催され、鉄輪温泉の隠れた魅力を発見することも出来る。また、昔から伝わる蒸し湯や足蒸しの新設の他にも、この地域だけで六つの地元住民専用の共同浴場があるが、利用料金を払えばもちろん観光客も利用できる。

鉄輪温泉は、『温泉資源と自然環境に恵まれ、温泉利用の効果が充分期待され、かつ健全な温泉地としての条件を備えている』として、環境庁より明礬・柴石温泉と共に国民保養温泉地・国民保健温泉地に指定されている。 また、 平成16年にNHKが全国に募集した「21世紀に残したい日本の風景」で、別府の湯けむりが堂々の2位となっている。大観山の湯けむり展望台からその湯けむりを眺めることができる。

地元住民有志(鉄輪愛酎会)が平成5年から手がけている、鉄輪を訪れた人達の投句集の編纂はすでに十数年を数え、最優秀句が刻まれた記念句碑も鉄輪の町並みのあちらこちらに設置されている。(鉄輪の町並み・まちづくりの詳細はこちらのサイトをご覧下さい)

鉄輪温泉は、温泉場として明治中期には浴客数3,000以上、旅館戸数34を数え、すでに別府、浜脇温泉と肩を並べている。昭和10年亀川町・朝日村(元鉄輪村)・石垣村の別府市合併で、温泉・地獄地帯の全域が「大別府市」に組み入れられ、一大温泉郷となっている。この頃までにはすでに「地獄めぐり」の観光バスも出現している。写真下左は旧ひょうたん温泉、右はカマド地獄の噴気。(資料写真:小野弘氏)




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