大正13年(1924年)の別府市制施行を記念し、昭和3年(1928年)3月に竣工した別府市公会堂(現別府市中央公民館)は、鉄筋コンクリート造の県下屈指の貴重な近代建築のひとつ。当時逓信省営繕課の設計者で東京中央郵便局(1933年)や大阪中央郵便局(1939年)をその後手掛け、日本の近代建築に大きな影響を与えた吉田鉄郎氏の設計で、スエーデン・ストックホルムの市庁舎をモデルにしたと伝えられている。
下記河村建一氏提供の当時の写真からも分かるように、重厚かつ端正なファサード、内部の壁や照明器具に至るまで、優れたデザイン性が感じ取れる。 |
昭和42(1967)年の大改修により2階への正面玄関アプローチの石造の階段が撤去され、ファサードが当時とは大きく異なってしまったが、内部にはステンドグラスや照明器具、噴水、トイレなど、当時のままのデザインがまだ残されている部分もある。
今年(平成20年)3月竣工から80年目にもあたり、現在別府市は耐震工事を含め保存・活用を検討していると聞く。市民にとって貴重な財産でもあるこの近代建築が、果たしてこれからも大切に保存活用され続けていくのか、見守っていく必要がある。
(新撮/更新:平成20年2月21日) |